そもそも家族葬って?
家族葬とは、葬儀社が利便上作り出した商品名のようなものです。そのため、遺族にとっても、葬儀社にとっても意味のとらえ方は様々です。また通常、葬儀の形式を指すのではなく、葬儀の規模を指す言葉として使われています。
一般的に「家族葬」とは、会葬者が故人の家族(またはごく近い親戚)のみでの葬儀という意味で使います。ですので人数的には5~20名くらいの葬儀となります。そして「家族葬」という言葉に、宗教儀礼を省くという意味合いはありません。仏式で行うならお寺の僧侶が、キリスト教なら神父(牧師)が宗教儀礼をおこないます。(もちろんお寺や教会などに付き合いがなければ、無宗教葬として行うこともあります)
密葬や直葬と家族葬の違い
小規模の葬儀用語で、家族葬とよく間違いがあるのが密葬と直葬です。この2つは少数で行うという意味では同じですが、葬儀としては全く異なりますので注意が必要です
密葬とは…
基本的に、あとにある本葬の前に行う葬儀の事を指します。社葬などの大規模な葬儀をするとき一回でおこなってしまうと、会葬者が多すぎて親族がゆっくりお別れが出来ないとか、準備に時間がかかりご遺体を綺麗な状態で保てないなどの理由で、事前に親族とごく近しい友人などで葬儀を行うのことを密葬と言います
直葬とは…
お通夜や告別式を省いて、火葬だけ行う葬儀です。火葬場にもよりますが10~30分くらいのお別れの時間と焼香の時間がとれます。「炉前経」として僧侶や司式者を呼ぶことはできますが、式場がないので祭壇を飾ったり、供花を送ったり、一人一人の席があるわけではありません。宗教儀式もかなり省かれます。費用的には一番安くできる葬儀です
家族葬のメリット
- 故人の家族と親族だけなので、周りに気兼ねなくゆっくり偲ぶことが出来ます
- 会葬者が少ないため、会葬返礼品や料理などの費用が抑えられます
- 会場を選ぶうえで、大きさを気にしなくて良いので比較的選択肢が多いです
- 会場付近の(案内)看板や受付が不要になるなど、葬儀本体の価格が抑えられます
- ご遺族中心のスケジュールが組めます。(火葬中に食事をとったり、葬儀当日に納骨したりなど)
家族葬のデメリット
- 親族の理解を得られない場合がある
- 葬儀社スタッフが1人で行うこともあり、予想外の会葬者が来た場合対応しきれない
- 故人とお別れがしたかった方(会社関係や近隣の住人など)が参列できない
- 参列できなかった方から後日問い合わせがあったり、自宅にお参りに来る。決った日に来てくれるわけでないので、その都度その対応に追われる
- 会葬者が少ないため、香典が集まらない
家族葬を行う上での注意点
小規模な家族葬と言えど、上記のデメリットを考慮して、葬儀社とよく打ち合わせが必要です。ご遺族が葬儀に対して何を第一に葬儀を考えているのか、「家族葬でおねがいします」という言葉だけでは伝わりません。家族葬にしたい理由が金銭面なのか、それともゆっくりお別れがしたいのか、故人らしい葬儀を作りたいのか、伝え方によっては全く意図していたものと違う葬儀になってしまうので注意しましょう
打ち合わせ時に確認しておくポイント
- 近親者のどこまでお知らせをするのか?知らせなくてもあとでトラブルにならないか?
- 会葬者が何名の予定か?
- 会場は親族全員分の席があるか?
- 訃報を知らせる会社関係、知人には「家族葬のため身内のみの参列となる」旨を伝えてあるか?
- 「家族葬プラン」などがある場合、祭壇や棺は思っているのも一致しているか?質素すぎないか?
- プラン内容に含まれない、別途費用とはなにか?
- 料理や返礼品など、いざというときに追加できるのか?
- 喪主の挨拶、受付、看板などは必要か?
家族葬は安く葬儀ができるのか?
家族葬は会葬者が少なくなるため、全体の費用は安くなります(料理や会葬品の費用が減るため)。しかし、通常の葬儀と同じように祭壇や棺は必要です。
また、葬儀会場での案内係などは人数を減らすことができますが、搬入費や飾り付けの人件費は通常の葬儀と同じように掛ってきます。
このように、金銭面から「家族葬」をと考えてる場合、葬儀本体の価格は思っていたより安くならないということがあります。香典も集まらないので葬儀費を香典で相殺できず、実際には施主が負担する費用は高くなるケースもあります
家族葬のメリット・デメリットのまとめ
最近は、どの葬儀社も家族葬を薦めるような広告を出しています。もちろん家族葬にはメリットは沢山あります。しかし、その「家族葬」という意味を、遺族と葬儀社が同じように共有しなければトラブルになる可能性が大いにあります。
故人を送る大切な儀式ですので、思い違い・すれ違いの無いようしっかりと葬儀社と打ち合わせしましょう。双方の考えがリンクしたとき、故人らしい素敵なセレモニーとなるでしょう