葬斂の奏者-亡失に顔を逸らす諸人へ

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現役葬祭プランナーが、葬儀の常識・マナー・風習・疑問を詳しく解説するニャ

四十九日までは何を【お供え】すればいい?納骨まで使う後飾り壇の話

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地域により違いはありますが、首都圏では葬儀を終え四十九日にあわせて納骨を行うことが多いです。納骨までの間は、通常自宅に遺骨や位牌を安置します

後飾り壇とは

納骨まで遺骨や位牌を祀る自宅用の祭壇を後飾り壇(中陰壇)といいます。多くの場合、葬儀社のプランに組み込まれているので担当のスタッフが自宅に用意してくれます。葬儀社に頼まない場合、家族で同じようなものを用意しても問題ありません

大きさは幅3尺(90cm)、高さが1段20cmくらいのもので、2段もしくは3段のものが一般的でしょう。木製のものや段ボール製のものなどがありますが、上から白い布を掛けますのでどちらでも構いません

上段に遺骨・写真・位牌、下段に仏具を置きお参りが出来るように整えます。空いたスペースにお供えもの(後述)を置きます

 

 

四十九日(納骨)までのお供え物

葬儀を終えた後のお供え物ですが、宗教・宗派・地域によって異なります。しっかりとやりたいという方は、まず菩提寺や教会など宗教者に問い合わせてみましょう。もちろん葬儀社も教えてくれますが下記のような一般的な事しか教えてくれませんので、地域性や宗教者の考えと食い違う事がありますので注意しましょう

仏式のお供えもの

多くの宗派は五供(ごく)をお供えします。五供とは「香」「花」「水」「灯明」「仏飯」の5つです

 お線香や抹香などのお香です。よく「四十九日までお線香は絶やさない」と言われますが現実的に難しいです。現代では朝昼晩など一日の節目で手向ければ良いでしょう。浄土までの道標ともなりますので、一筋(1つの道)にという意味からお線香の本数は1本が良いとされています

 造花ではなく生花をお供えします。日数がありますので痛んでしまう前に交換し、常に新しいお花をお供えしましょう。量に決まりはありませんので、多くても少なくても構いません

水は水道水で構いませんが、毎日交換して新しいものを供えます。故人が使っていたグラスや湯飲みでお供えしてあげてください

灯明

火を指します。現代ではローソクの炎がそれにあたります。こちらも線香同様「常に絶やさず」という考えも多くありますが、やはり火災や一酸化中毒などの危険も考えられますので近代ではお参りする時だけ灯したり、電気や電池式のローソク風なものを使ったりします。お部屋の明かりも就寝時は消すことが多いです

仏飯

毎食、家族自宅でが食べるものと同じものをお供えします。しかし仏様は物理的に食べませんので一度お供えをして手を合わせたら、お下げして家族で召し上がってください。置きっぱなしにして痛んだものをお供えしないように注意しましょう。また、ご飯やおかずなどは炊き上がって一番最初ものを供えます

宗派や地域による違いもあります

浄土真宗では食事やお水のお供えは必要なしとされています。また一部宗派や地域によっては、樒(しきみ)、果物、香典袋や弔電、回転灯篭などをお供えします

神道のお供え物

お神酒、水、洗米、塩、榊を供えます

キリスト教のお供え物

パンやお菓子をお供えします。宗派によって十字架や聖書が必要な場合がありますので、教会に問い合わせてみましょう

家族の気持ちを一番にお供えしたい

宗教・宗派で様々なお供えの作法がありますが、筆者は家族の想いが一番だと考えます。故人が好きだったタバコやお酒、ペットの写真や趣味のもの、家族と思い出など作法にこだわらず好きなときに好きなだけお供えしてあげるのが良いと思います

私は他のページでもよく書きますが葬儀や供養は故人の為というよりも、残された遺族の為に行うもの。大切な故人の為に「こうしてあげたい!」という気持ちが、遺族の悲しみを和らげるのです