葬儀の中の「弔辞」。故人への感謝の思いや別れのメッセージを、式中に読み上げる儀式です。葬儀の中で一番心を打たれる場面かもしれません。
最近では家族中心の葬儀が多くなっていたり、一般弔問者は通夜だけに参列するような風習が広まっているため、社葬や合同葬といった大規模な葬儀以外は「弔辞」を行わないことが増えています。また、弔辞者の都合や、多くの人に聞いてもらいたいという理由から、告別式でなく通夜に「弔辞」を行うこともあります
弔辞を依頼されたら
遺族は参列者の中から、「故人が特に慕っていた人」ですとか「お世話になった人」に依頼をします。遺族の気持ちを察して、よほどの事情がなければお受けしましょう。また故人と深い付き合いがあるのなら、自分から立候補しても良いでしょう
弔辞をお願いする人
・会社の取引先
・自社の社員や役員
・地元出身の議員
・友人の代表 など
弔辞は大体3~5名でということが多いですが、同じ関係先にお願いしてしまうと、内容が似通ってしまうので依頼された側に気を遣わせてしまいます。会社・取引先・団体関係・友人など、色々な関係先から話をしてもらえるように依頼しましょう。
故人の子供や孫が弔辞をすることも地域の風習よってあります。首都圏では「弔辞は社葬などの大きな葬儀で行うもの」というような少し堅苦しいイメージが定着してきている為か、親族が行うことは少ないです。そのため故人の子供や孫が行うときは「弔辞」という名目ではなく「お別れの言葉」などと少し柔らかく表現し、故人へ向けたメッセージを読み上げてもらう事もあります
※筆者の私見ですが、家族を失った悲しみで複雑な感情を持った若い子供が、厳粛な儀式の中、大勢の大人の前で弔辞を述べるのは「本人に精神的ストレスになるのでは?」と考えています。弔辞は結婚式やイベントの挨拶と違い、周りからの拍手も称賛する言葉もありません。弔辞を述べた後は、ただ静かに席に戻るだけです。グリーフケア(喪失に対する立ち直り)と言う視点から考えると、故人の子供や孫の弔辞はあまりお勧めできません
弔辞の書き方
・用 紙:奉書紙(ほうしょがみ)か巻紙に薄めの墨を使い毛筆で書きます
・表書き:毛筆で「弔辞」と記します
・包み方:同じ奉書紙を使い左前(左を内側)で包みます
自分らしい表現で
まず遺族へお悔やみの言葉を入れた後、文面は故人へ向けた言葉が中心となります。無理に堅い言葉を使う必要はありません。話しかけるように自分の言葉で書くのが良いでしょう
忌み言葉
遺族に辛い思いをさせないよう、忌み言葉に注意します
【ブログ内 参照記事】葬儀で使ってはいけない言葉(忌み言葉)
弔辞の長さ、文字数
式全体の時間も配慮して弔辞は3分~5分くらいにするのが一般的です。文字数としては、1000文字が目安です
弔辞奉読の作法
・司会者が弔辞者を指名(紹介)します
・立ち上がり祭壇前へ進みます
・遺族に一礼、故人(遺影)に向かって一礼します
・右手で本文を取りだし、左手に表包みと本文を持ち直します
・右手で本文を広げ読み始めます
・読み終えたら本文を表包みに戻し、お盆を持ったスタッフに渡すか、祭壇や所定の位置に捧げます
・故人(遺影)に一礼、遺族に一礼し席に戻ります
注意点
慣れないスピーチは意図せず早くなってしまうものです。ゆっくりと読むことを意識して読み上げましょう