葬斂の奏者-亡失に顔を逸らす諸人へ

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葬斂の奏者-亡失に顔を逸らす諸人へ

現役葬祭プランナーが、葬儀の常識・マナー・風習・疑問を詳しく解説するニャ

近年増え続ける【直葬】本当にお金がない人以外はやるべきでない?

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はじめに・・・、私はは直葬を否定していません。最近、葬儀社の広告で直葬の安さを売りにしている所を多く見かけますが、直葬は今に始まったものではありません。昔から、経済的に苦しい方や、身寄りのない方ばど直葬という形の葬儀は行われてきました

そして宗教心の薄れた現代人が選ぶ葬儀の方法として、直葬という形の選択は当然だと思ってます

直葬とは

葬儀社により若干とらえ方の違いはありますが、簡単に言うと「火葬だけ」です

病院や自宅で臨終を迎えた後、火葬場や葬儀社の霊安室で遺体を預かってもらい、当日火葬場で現地集合。荼毘に付して収骨し解散。正味2時間位ですべて終わります

基本的に会葬者は家族と関係の深い親族のみで、10名未満という形が多いでしょう。「お花を棺に納める」など少しのお別れの時間はありますが、せいぜい30分程です。また、希望により僧侶を呼んで火葬炉前でお経をあげて貰う事もできますが、その時間も10分程度で宗教儀礼はほとんど省かれます

直葬の価格相場

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インターネットで検索すると、多くの葬儀社が「直葬○○万円」と謳っています。安い所では6万円台、高い所で30万円くらいでしょうか。多くは15万円前後の価格帯となっています。付属するオプションが様々なので、プランになにが含まれているのか、数社のプランや見積もりを見比べる事が必要です

増え続ける要因

高年齢化

2015年、日本の平均寿命は、男性が80歳・女性が86歳となっています。会社や色々なコミュニティから引退して10~20年たった時に、葬儀に駆けつけてくれる人がどれほどいるか?また、同じ年代の友人や同僚の健康状態への配慮。そのあたりを考慮して、近年、遺族は『身内だけの葬儀』を選ぶ傾向にあります
さらには寿命が延びた分、長期間の医療(保険)施設への入院や入居、介護によって死亡者本人の貯蓄はほとんど残っていない、遺族にも蓄えがない。不本意ながら直葬を選ぶ場合もあります

価格競争

葬儀社が低価格を打ち出して広告宣伝をしていますので、遺族は「そんなに安くできるのなら!」と直葬を選ぶのは当然の流れでしょう。現代では、病院の霊安室からインターネットで葬儀社を検索する方も増え、地域の最安値の葬儀社へ依頼します。他社より安くという流れが風潮となり、葬儀社はどんどん利益率を落としていきます。遺族側とすれば、金額面で安いに越したことは無いのですが、疲弊していく葬儀社が増え粗悪な葬儀をされる危険があります

信仰心の希薄

冒頭でも記しましたが、科学の発達や教育により現代の人達は「死後の世界」や「浄土」、「天国」「魂(たましい)」という宗教的な考えを、心の底から信じている方は減っています

葬儀で僧侶を依頼するのは「周りがやってるから恥ずかしくないように」とか「墓地があるから」などの思いで、宗教への信仰心から依頼する片は少なくなっています。これは、昔より地域の学校のようなものとして、「人」が幸せに生きていく術を教えていた寺院や神社、教会などが、あまりにも今の日常と離れてしまっていることが原因です

親戚や近隣との疎遠

昔のように、生まれた地で生涯を終える方も減ってきています。若いうちに仕事のため地方から首都圏へ移住したり、介護や入院のため子供のいる地へ転居したりもします

死亡者とご近所に接点のない状態により、地の葬儀のやり方なども無視されることが多くなりました。また、親戚同志の付き合いも減り、遠方から葬儀に出て来てもらう事に気兼ねし訃報を知らせない方も増えています

直葬をめぐる3大トラブル

親戚からの非難・叱責

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「直葬する」という親戚への後ろめたさがあるのか、遺族は親戚に訃報を知らせなかったり、事後報告とすることがあります

葬儀の後「なぜ知らせてくれなかったのか?」「私もお別れがしたかった」「そんなやり方じゃ故人が不憫だ」「成仏できない!」などなど、終わった後にお叱りを受けるというトラブルがあります

地域によって葬儀への考え方・接し方は様々です。特に地方に住んでる親戚に「来てもらうの大変だから」と勝手に判断し、一報も入れずに葬儀を進めてしまうのはトラブルの元です

菩提寺からの納骨拒否

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菩提寺がある場合も『直葬』はトラブルとなるケースが多いです。お寺にはお寺の作法があります。故人を供養するため、様々な儀式もあるでしょう。戒名や法名も付けなくてはなりません。ご先祖の代より、納骨後故人をずっと供養してくれるお寺ですので、その儀式を一気に省いてしまうのは「供養できません」「責任持てません」と言われてもしかたありません

菩提寺に納骨する予定であるなら、葬儀社が日程等を決める前に、住職とよく相談して葬儀の形式を決めましょう。葬儀社は早く契約を成立させたいので、急かせるかもしれませんが、「菩提寺があります」としっかり告げれば待ってくれます。菩提寺に反対されてしまい、しかしどうしても直葬にしたいのであれば、別の場所(宗派問わずの霊園や散骨など)にお骨の行き先を考えるしかありません

予期せぬ参列者

火葬場でのお別れは、大人数では出来ません。(都内は親戚などが多い場合、特別室といったその遺族専用のスペースを用意してくれますが、料金は2倍~3倍となります)知人に訃報を伝える時、「家族だけで」とか「直葬で」などをしっかり伝えられず、また人から人へと訃報が流れ、当日大勢の方が弔問に来てしまうというトラブルがあります。直葬では「お清め」や「お斎」の場もありませんし、会葬礼状や返礼品も予定人数分しか用意がありません。弔問者へ失礼の無いよう、事前に参列を断る旨をしっかり伝えなくてはいけません

葬儀社は遺族にしっかりとした確認と説明を!

・家族に菩提寺はあるか?

・家族が親族の理解を得ているか?

・訃報の範囲は制限されているか?

・お別れの時間はどのくらいとれるのか?

・葬儀まで故人との対面は可能か?

近年増え続ける直葬のまとめ

直葬を選ぶ方の大半は、経済的・金銭面で選んでいるはずです。遺族は「直葬とは色々な所を省いている為、安くできる葬儀」ということを理解すること。故人と接点があった方々へ、対面(お別れ)の場を作らずに火葬をしてしまって良いのか、しっかりと考えから葬儀社へ依頼しましょう

今後、少子化の影響もあり【直葬】の依頼は更に加速していくことでしょう。直葬専門の葬儀社や火葬場も出てきたり、葬儀社を通さず全て遺族だけで葬儀が出来る時代もくるかもしれません。一般葬・家族葬・直葬といろいろありますが、残された人が金銭面だけでなく、精神面においても負担が少なくなる葬儀を選択したいものです