葬斂の奏者-亡失に顔を逸らす諸人へ

葬斂の奏者-亡失に顔を逸らす諸人へ

現役葬祭プランナーが、葬儀の常識・マナー・風習・疑問を詳しく解説するニャ

喪中なんだけど正月に【おせち料理】食べてもいい?忌中・喪中の年末年始

”喪中期間の年末年始【お正月の過ごし方】”/

家族に不幸があった場合、忌中・喪中となります。故人との関係や地域の慣習によってその期間は様々ですが、葬儀後のこの期間はお祝い事や派手な行動を慎みますし、お正月の過ごし方や挨拶なども少し変わってきます

忌中・喪中の期間

明治7年に政府から出された「忌服令」という法律があります。これは、故人との関係によって喪に服す期間などを細かく定めたものでしたが、昭和22年に撤廃されています。

撤廃された法律ではありますが、今でもそれを目安に喪中期間として、故人を偲び質素に過ごすのが常識化しています。

◆忌中(外出や外交を控える期間)

  • 両親…50日
  • 夫…50日
  • 妻…20日
  • 子供(息子)…20日
  • 子供(娘)…10日
  • 兄弟姉妹…20日
  • 祖父母(父方)…30日
  • 祖父母(母方)…30日

◆喪中(故人を偲ぶ期間)

  • 両親…13か月
  • 夫…13か月
  • 妻…90日
  • 子供(息子)…90日
  • 子供(娘)…90日
  • 兄弟姉妹…90日
  • 祖父母(父方)…150日
  • 祖父母(母方)…90日

喪中葉書、年賀状

現在では法で期間を定められているわけではありませんので、細かく考える必要はなく、一緒に過ごしていた家族なら概ね忌中は50日、喪中は1年と考えることが多いです。自分自身の気持ちなので、気にしない、気にならない方は普通に過ごしてもよいでしょう。特に、浄土真宗・キリスト教では「忌」という考えはありませんので、本来であれば忌や喪に服すことはありません

毎年、年賀の挨拶をしている所には喪中の場合、喪中葉書(年賀欠礼)を送ります。以前当ブログでまとめておりますので、下記を参照してみてください。

正月飾り

歳神様を迎え入れ新年をお祝いをするもので、喪中の場合「門松」や「しめ飾り」、「鏡餅」などの正月飾りは行いません。また、神棚の「しめ縄」や「おふだ」を新たしいものに交換する場合、忌中は神棚を封印していますので行いません。忌が明けて喪中となってからは構いません。

正月飾りはご近所の方の目にも触れますので、「常識がない…」と思われないよう気を付けましょう

年越しそば

年越しそばを食べるの意味は、「悪いものを断ち切る」ことや「健康に生きる」という願いが込められています。これはお祝い事でないので食べても大丈夫です

初詣

神道’(神社)では「死を穢れ(けがれ)」と考えているため、忌中50日間は聖域である神社の鳥居内へ入ることを許されていません。もちろん鳥居を避けて敷地内へ入れば良いという事もありません。神社へは忌が明けてからお参りに行きます。よく「喪中(1年)」と「忌中(50日)」を混同されてる方が多いですが、喪中のお参りは可能です。

寺院(お寺)への初詣は忌中であっても問題ありません。お正月に初詣へ行きたいのであれば、お寺に行きましょう

おせち料理 お雑煮

お祝いの料理ですので忌中でも喪中でも本来は「おせち料理」は食べません。どうしても用意したい場合は、重箱を使わずお皿に盛りつけるとか、鯛や海老、お餅など祝いのイメージが強いものを避けるなど、普段の料理として用意します

お年玉

自分が喪中の場合

お年玉の語源は、「歳神様へのお供えの餅を、おさがりとして子供に配った」ということから来ているといわれています。そのため正月飾りをしない喪中期間は「お年玉」を用意しません。自分の子供が他人から「お年玉」を受け取ることも自粛させます

相手が喪中の場合

例えば、友人の子供へのお年玉ですが、お互いに年賀の挨拶を控えますので、お年玉も用意する必要はないでしょう

しかし可愛い子供が、とても楽しみにしているので・・・

最近では「お年玉」ではなく「お小遣い」や「おもちゃ代」「文具代」などと名目を変えて渡したり貰ったりすることも多くなっています

忌中・喪中の年末年始の過ごし方のまとめ

本文中にも少し書きましたが、現代では喪中というのは曖昧で本人の気持ち次第じゃないかと思います。家族を失って悲しみの中にいるのであれば、正月飾りやおせち料理を用意する気にはならないでしょう

しかし、周りから見られることのない家庭内の事であれば、楽しみにしている子供のために「少し控えめなおせち料理」や「お年玉」など、お正月を感じさせてあげても良いかもしれません。その時は親の責任として子供が成長した後に恥をかかないよう「去年おじいちゃんが亡くなったから、本当はお正月をしないんだよ」としっかり教えてあげて下さい